いつの日か見た空

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新鮮な風が僕の頬をかすめる。 田舎町へと向かうこの電車の中において久々に感じることの出来る外の世界だった。 この夏独特の湿っている風。 それでいてどこか心地よいくらいの絶妙な涼しさを帯びているのはまだ六月という初夏だろうか。 もしくは都会から離れているからだろうか。 たかが数時間電車に揺られただけで空気も見える世界も変わってい待ったことに少しおかしかった。 そんなことを考えていると隣で寝息を立てていた妹の渚沙(なぎさ)が起きてきた。 「…………後どれくらいでつく?」 まだ若干寝ぼけているのかおぼつかない口調で聞いてくる。 「まだあと30分くらいあるから寝てて良いよ」 それを聞いて安心したのかまた寝息を立て始めた。 学校ではクール系などと呼ばれ親しまれている妹がきっと家族、特に僕にしか見せない姿だろう。 電車は相も変わらないスピードで線路の上を目的地に向かって走らせている。 僕らの目的地、『茜空(あかねぞら)』まで。 時間もあることだからちょっといろいろなことを整理しておこう。
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