-2163年6月29日-

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勿論、回す方向と回数、暗証番号4桁も事前に東条から教えてもらっている。 金庫のロックを指示通りに操作。4桁の暗証番号を打ち終えた後、ピーッという電子音と共に金庫の扉が開いた。 中には茶色の封筒が1つ置いてあり、中身を確認してみると小難しいことが沢山書いてある紙の束が入っていた。偽物ではないと近衛は判断した。 簡単な仕事だったな、近衛はそう思いながら扉に近づく。 ドアノブに手を掛けようとした。その時、今日初めての想定外が起きた。 近衛がドアノブに触れる前にドアノブが動いた。誰かがこの部屋に入ってくる。 若干同様したものの、近衛はすぐに扉の近くの壁に張り付き、自身の能力を発動させる。 『自分の半径1m内にいる者から視認されなくなる』。これからこの部屋に入ってくる者は近衛の存在を見落とすことになるだろう。 扉が開き、何者かが部屋に入ってくる。近衛はそれを間近で確認出来た。 巡回の警備員が入ってくると思っていた。しかし、入ってきた警備員ではなかった。 女子だった。それも高校生位の。 帽子を深く被っているため顔までは分からないが服装は動きやすさを重視しているのかラフな格好だった。 だがそんな軽い服装とは反対に、腰には重々しいものが携えられていた。 形状から見て刃物、それも刃渡り30cm以上はあるものが鞘に納められた状態で少女のベルトに付けられていた。 扉を閉め、辺りを見渡してから近衛と同じく少女は金庫に近づいた。 よく分からないけど、とにかく急いで逃げよう、近衛はそう判断した。 少女が金庫の前にいるこの時点で少女は近衛の能力の効果範囲外に出ている。だが少女は金庫のロックを解除することに集中している様だ。 気づかれない様に細心の注意を払いながら扉を開ける。作られたばかりのビルのため、音はならない。 一歩一歩、ゆっくりと歩き部屋を出る。 扉を静かに閉め、その場から離れる。廊下を音をたてない様、尚且つ急いで歩いた。 階段に差し掛かり、下の階に降りてから近衛は深く息を吐いた。
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