-2163年6月29日-

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一体あの子は何だったんだろう。自分と同じ様にこの封筒を盗みにきたのか? 携帯を取り出し、東条に電話をかけようとしたが、その前に東条から着信が入った。 『近衛、アクシデントだ。どうやらそのビル、俺ら以外にも侵入者がいるらしい」 「うん。さっき社長室で見た。金庫を開けようとしてたから多分僕らと同じ目的だよ」 「クソッ!最悪だ!・・・・近衛、金庫にあった物はお前が持ってるんだな?」 「うん」 「そうか、よし!いいか、そいつらのことはまだ分からないが今すぐ逃げてこい!俺達と目的が一緒ならそいつらはお前の持ってるソレを必ず狙ってくる!奪われる前に逃げ・・・・・」 近衛は最後まで話を聞かず、体を捻りながらその場から飛び退いた。 理由は単純。目の前のガラスには電話で話をしている自分が映っていた。そして、その後ろには刃物を振り下ろそうとしている者がいたからだ。 突然のことだったため綺麗に着地出来ず、携帯を落としてしまった。 奇襲者は携帯を拾い上げ、ポケットにしまう。 近衛はその奇襲者を知っている。 深く被った帽子、動きやすそうな服装、腰元のナイフ。社長室で見た女の子だった。 「ねー君、ちょ~っと聞きたいことがあるんだけどいいかな~?」 優しそうな声色で話しかけられたが、当然近衛は警戒を解かない。 「私今探し物をしてるの。これくらいの大きさの封筒なんだけど・・・・知らない?」 「・・・・知らないよ」 勿論嘘である。 「へ~知らないんだ・・・・・君はここで何をしているの?」 「・・・・・」 「まさか迷子なわけないし、警備の人にも見えない。ねえ、教えてよ。君みたいな子供がここで一体何をしているのかな!?」 刃渡り30cm以上のナイフを手に少女は走り出した。 後ろは壁、左右には道が続いているが、恐らく彼女のナイフが自分の体を切りつける方のが早いだろう。 (だったら) 少年は逃げることを一旦捨て、身を構える。
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