-2051年?月?日-

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2051年、1人の超能力者が世間に向け懇願した。 その超能力者は多くの人々の前で自身の力を見せ、そして自身の願いを伝えた。 「私は超能力を使える。しかし、それ以外は普通の人間と変わらない。感情もあるし、人としての道徳も持っている。だが世間は私の様な存在を異端として扱う。それが私にはどうしても耐えられない苦痛だ。だから私は超能力者を1人の人として、世界中の人に認めて欲しい」 この言葉に、博愛主義の者が彼の存在を認めた。 超能力者は続けて言った。 「人権と尊厳を約束してくれるなら、私は化学者達の研究対象にもなる」 この言葉に、化学に通ずる者が彼の存在を認めた。 さらに超能力者は続ける。 「脅すつもりはないが、私の望みを叶えるために言っておく。私の力は人の嘘を見破れる」 この言葉に、政治を執る者が彼の存在を認めた。 結果、彼がその力を世間に見せてから約3ヶ月後、世界中の殆どの人間が彼の存在とその能力を認めた。 それを機に、今まで力を隠し生活していた超能力者も彼の元に集まり始めた。彼と同じ様に、自分の存在を世界に認めてもらうために。 彼の言葉通り、超能力者達は化学者達の研究に協力し、学者はその能力を解明しようと研究に励んだ。 そのため、化学は飛躍的な進歩を遂げ、それに伴い超能力者の力の仕組みも徐々に解明されていった。 文明は進歩し、常人と超能力者との隔たりも消え、順風満帆とはまさにこの事だった。 そんな中、1人の化学者がある研究を完成させた。 その化学者は人体、主に遺伝子の研究を専門としていた。 そのためか、化学者は作る事が出来た。出来てしまった。 人工の超能力者を。 そこから、 世界はさらに変化し始めた。
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