-2163年6月12日-

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「えー、ではこれから実験を始めたいと思います。今回の実験の被験者は『実験番号25番』。なお、今から行う実験は命を落とす危険性がありますが25番は能力水準が通常以下、つまり『劣化型』なので最悪損失しても構わないと所長から許可を貰っています。ここまでで何か質問のある方は?」 「はい。もし実験対象が今回の実験の全てを実施する前に死んだ場合はどうなるのですか?」 「その場合は別の実験対象を使いますので実験を途中で切り上げることはありません」 「ああ、それはよかった」 「他に質問のある方は・・・・いない様なので現時刻21時、予定通り実験を始めます。まずは電流を流された状態で能力を使おうとするとどんな反応が起きるかから」 少年の右横の機械からウゥンという作動音が響く。 直後、激しい痛みが全身を襲い少年は絶叫をあげた。 電流はすぐに切られた。ガラスの向こうでは機材の操作を行っていると思われる男が照れを浮かべながら笑っていた。周りにいる白衣の男達も、まるで子供がした失敗を見るかの様に笑っていた。 再度、少年の体に痛みが走る。先程に比べだいぶ電圧は落ちたが人体に対して害なのは変わらない。 少年は呻き声をあげ、その場にうずくまった。 暫くして再びスピーカーから音が発せられる。 「おーい、25番。実験内容はさっき説明しただろう?早くその状態で能力を使ってみてくれ」 「ウゥ…ウァ、ア…ア」 「………」 「痛、い…電…流止め…」 「早く能力使え。実験にならないだろうが」 「ウ…ゥ…」 痺れて自由の利かない体に目一杯の力を込め、少年は能力を発動した。 それは、少年に被らされているヘルメットのコードから、ガラスの向こう側にいる研究員達にも伝わった。 スピーカーからは研究員各々の感想が聞こえてくる。 「ホウ、やはり脳波は乱れまくる様ですな」 「暴発する訳ではなく、あくまで能力が使いにくくなるだけみたいですね」 「いやいや、電流の強弱や電流を流す周期に変化を加える事で、意図的に能力を暴発させる事も可能かもしれない」 「あ、それ良いですね。今度の実験でやってみましょうか」
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