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破片を踏み割りながら男が少年へと近づいていく。
少年との距離2m。そこで男は歩を止め、手にしている携帯電話と少年の顔を交互に見る。
「よーし、こいつだ」
携帯をしまい、少年に近づく。
「く、来るな!」
「うるせえ」
少年が抵抗をする前に、男は素早くその口に薬を放り入れ、無理やり飲ませた。
少し咳き込んだ後、少年は眠りに落ちた。
「さてと、後はコイツ拉致って終わりだな」
「動くな!!」
「あ?」
振り返ると出入り口で4・5人の警備員が男に向けて武器を構えている。
「その少年を床に置け。その後手を頭に回し、床に伏せろ」
「いきなり3つも命令するとは、お前何様だ?」
「いいからさっさと従え!その子ごと撃ち殺すぞ!!」
「まぁそんなこと言うなって。ほら、上を見てみろよ」
そう言い、男は出入り口の上を指差す。
「そう言われて侵入者から目を離す奴がいる訳無いだろ!もういい!お前ら、撃…」
《Pi》
「なっ」
2度目の爆発音が部屋に響き渡る。
爆発元は男が指差した出入り口の上の壁、部屋に進入後、男が取り付けた爆弾である。
時限式ではない。男が自身の能力を使って爆発させたのだ。
「ハン!!馬鹿共が!!」
懐から新たな爆弾を取り出し、出入り口に投げる。
その爆弾に再び指を指し能力を発動する。
爆弾は爆発し、出入り口付近の瓦礫を吹き飛ばす。
「さてと、逃げるか」
男は少年を担ぎ、廊下を駆け抜けた。
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