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呼び鈴を押しても、母親は中々出ない。
何時もの事だ。
書斎に居るときは、目の前にある考えがまとまるまでは、頑として動かない。
「瑠夏さん……
表札が2つ有ります……」
待ってる間、先生がボソッと呟いた。
「あっ! 言うの忘れてました。
私は、父親の名字なので……
これは、母の旧姓です。家は、夫婦別姓なんです。
戸籍上は私のために諦めたようですが、母はそれ以外は、全て旧姓で活動していますから」
「そうですか……」
心なしか、先生の顔が青いのは、緊張のせいだろうか。
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