今日、この瞬間、人生の新しい扉が開きます

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はぁ~ 先生。 今日も素敵だなぁ…… 真面目そうなシルバーフレームの眼鏡。 その下に見える切れ長の瞳。 長身ながら細い身体と色白の肌は、女性に負けない美しさを醸し出している。 そんな先生は、いつもキチッとしたスーツとネクタイを着こなし、颯爽と壇上に立っている。 この先生の容姿を見ただけで 『哲学』を履修する女子学生も少なくない。 瑠夏は科目便覧にある顔写真など、気にも留めていなかった。 後から川嶋さんに言われて気付いたくらいだ。 「 『哲学』の藤乃川先生のモテ要素は、あの儚さなんよね~  よか男なんやけど、寡黙でミステリアス。  そして、ちと病弱な感じが、女心をぎゅうって掴むんよ~」 そう言っていた川嶋さんもテスト後には冷徹眼鏡に評価が豹変していた。 藤乃川先生の人気は、2年生に上がる時にガクンと落ちるらしい。
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