梅津携の場合 1

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思い出して、なんか言わないから。 忘れられてても…いいから。 だから、だから… あなたの中に私はいるのか、それだけを教えて欲しい。 *********************** 憂うつだ。 そう憂うつ…。 原因は今手元にあるこれ。 梅津携…と俺の名前が刻まれたそれには、あまりにも普通すぎる数字が羅列している。 まぁ所謂通知票。 またの名を「悪魔の学生生活のあゆみ」…って俺が言っているだけだけど。 「…はぁ」 無意識に溜め息ばっかがでる。 その数字たちは、俺の上司…というか母親から出された理想という名のなにかには程遠いものだ。 まぁ、たいして悪いわけでもないので、そこまでグチグチ言われるわけではないだろうが、陰口にも似た嫌みを言われるだろう。 絶対にだ。 「…はぁ」 ほらまた溜め息が。 明日から夏休み、前期が今日で終わるというのに俺の心はすさんでいる。 そう…明日から夏休み。 学生生活における夏休みというのは、神がかっている期間ともいえるビッグイベントであろう。 特にこの中2の夏休みというのは。 受験もなければ、3年生は引退しているので先輩の目を気にしながら部活に励むこともない。 まさに自由な青春を謳歌できる、というわけだ。 それもあってか、俺のいるこの2ー4の教室は非常に盛り上がっている。 ついさっき、通知票が配られ今は所謂休憩時間。 クラスメートたちはここぞとばかりにか、祭りだのプールだのなんだのと、夏休みの予定を語り合っている。 まぁほぼ女子だが。 テンションの高い女子は普通の男子2~3人分のパワーがあると思う。 「梅津くん」 そんなくだらない事を考えていたら、ふと声がした。 「通知票どうだった?」
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