梅津携の場合 1

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そう柔らかく微笑むのは、俺の前の席の生徒である、綾咲琴美さんだ。 「…あんまり…よくはなかったかな」 真実のまま伝えると綾咲さんは苦笑いで、「そうなんだ~、実はねわたしも…」等と言ってくれた。 綾咲さんは、成績優秀、女子テニス部であり、スポーツ神経も抜群だけでは飽きたらず、 ルックスもそこら辺のアイドルやモデルに勝るような美貌…というか可愛さを備え持ち、まさに『才色兼備』をそのまんま女の子にしたような人だ。 性格もよくて、教師からも好かれているように見受けられる。 『クラスのマドンナ』とは彼女の為にある言葉だろう。 「…でね、って梅津くん聞いてた?」 「…っ!あ、うん聞いてた!聞いてた!」 しまった。綾咲さんの話をほぼ聞いていなかったではないか。 これは不覚だ。 「もう、梅津くんたら…」 ふてくされるような仕草をする綾咲さん。 マジ可愛いなクソ。
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