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きっと、じゃない。あの頑固オヤジのことだ、「絶対に休ませてくれないよ」の間違いだ。
それにしても、確かに二日酔いをした経験は、酒に強い俺にとっては数えるほどしかないな。
「実は昨日、転んでさ、骨折してたみたいだ」
こもった声を出す。結局、これといって良い言い訳が見つからなかった。
「どこよ、見せて」
彼女が布団をひっぺがそうとする。
「……じゃなくて、心臓が苦しい」
「まぁ、大変。お父さんを呼ばなくちゃ」
棒読みで言っているあたり、こいつは全く、信じてない。
「……お袋が死んだって」
「いつ? 昨日挨拶に見えた時は、おばさんぴんぴんだったわ」
親を勝手に殺すのはまずかったか、と軽く後悔する。にしても、昨日店に来てたのか。あんな騒動を起こしたんだ。お袋も驚いたに違いない。
「ねぇ、そろそろ観念したら? こういうのを往生際が悪いっていうのよ。二日酔いなら、しばらくすれば治るでしょ。朝ごはんでスープをしっかり飲めばいいのよ」
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