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「ユッキーと沙彩ちゃんがそうなったら、沙彩ちゃんは私の義妹になるってことだよね。
どうしようかなぁ。まずはショッピングに行くでしょ? それからぁ――」
片方は目尻を垂らして妄想にふけり。
もう片方は粘りつくような視線を僕に向け、
「幸弥、結婚出来るの?」
「……」
あなたね、今日失礼よ?
「僕だって、する時はしますよ」
今日は2人を祝うために来た筈なのに、明人も美穂も最後まで僕の話を聞きたがった。
でもまぁ……幸せそうだからいいか。
心の中の“幸せ”という感情が滲み出た笑顔。
そんな2人に負けないくらい僕も幸せだ、と言えるのに。
明人に言わせれば、それが感じられないらしい。
別に、明人に伝わらなくたって僕はなんとも思わないけれど。
彼女は――野々原さんは、そんな僕を見て不安に思ったりすることもあるんだろうか。
なんて、考えてしまった。
そういえば僕は彼女の告白に『僕も』と答えただけで、自分の口から気持ちを伝えたことがない。
そう思うと無性に、今すぐ家に1人でいる彼女のところへ帰りたくなった。
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