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「倒すって……やめとけって。電気代は安いが設置コスト……作って建てるまで数万かかるって聞いたぞ」
私たちに分かりやすく言い直してくれた。
「数万って……ガラスよりシャレなんねぇ……」
「どっちも壊して困るの、お前とその親だからな?」
「うっせ。勝手に壊れるんだよ」
「もう、そう言っていつも私の――」
グルウゥゥゥ!
「「……!」」
獣みたいなうなり声が少し遠くから聞こえてきた。
「今の、デカいな」
「行く?」
ゲーム機を鞄に押し込みながら二人に訊いてみる。
「無視して帰ろう。ただでさえ暑くてやる気出ないのに――」
「行くか!」
「話聞いてんのか……忠告はしとくぞ、あんな唸り出すのはロクなヤツじゃない」
面倒だからそう言っているんだろうけど……本当は心配してくれてるんだと私は思っている。それに、
「そんなのを放置する方がマズくない?」
「……それをお前に言われると、何も言い返せなくなるからやめて欲しいんだけど……」
シルシが額に手を当てながら呟いた。
「ならさっさと行こうぜ!ずっと戦ってなかったから腕がなまってんだ」
コーシが自分の右拳を左手で受け止めて、気合いをアピールした。
「なら、急いだ方が良いかもな。あの方向、駅前広場の辺りじゃなかったか?」
「えぇ!?駅前……急ごっ!」
まず、右手に――
「待て待て、追い付けなくなるから乗り物禁止だ」
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