第一章

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「そ~そ~。それで、“この世界”が結局何処を目指してるか、って言うと~」 「――『人の身で神の座に至る』……?」 俺の気だるそうな言葉を、西条が、溜息混じりに継いだ。 そう。 “この世界”はソレを本気で言っているのだ。 神の座に座る事の出来る人――つまり、神と同じく”人間を創造できる人間”。 超高度再生治療も、ドーピングも、ロボット製作もその一端。 結果的に『人類を現段階から進化』させたいらしい。 例えば、ハリネズミの『ハリ』 電気ナマズの『放電』 など、人間にも何らかの追加機能を付加したい――とか、ほざいている。 それを、歴史の授業で触れる程に――。 通常、生物がその生態を変化させるのに、気が遠くなる程の時間が必要だが、それを諸々(もろもろ)、ご自慢の科学力でぶっ飛ばす腹だ。 その為に、手当たり次第に薬品やら機械やらの研究・開発を進めて現在の“この世界”に至る訳で……。 ――眉唾物、というか飛躍し過ぎというか――どちらにせよ、現実味に欠ける話には違いない。
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