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「んぐっ!――ぶっはぁ!? ゴホッゴホッ!! は、はぁ!? な、何それ! 何それ!? ふざっ、ふざけんじゃないわよ!!! 馬鹿なのアンタ、馬鹿でしょ! この馬鹿!?」
「いや、それは俺じゃなくて、噂してる奴らに言ってくれ」
今日で、『一日に「馬鹿」って言われたレコード』を更新した様だ。
まぁ、それで何らかの特典がある訳でも無く、ただ無駄に罵倒されただけだ。
――この頼家 悠に、『我々の業界ではご褒美です』の趣味は無い。
「それじゃ、俺行くわ。お前も午後の授業、遅れんなよ~。体育館で、卒業式の練習だからな」
あわあわ、と口をパクパクさせて赤面している西条に俺は肩を竦めて見せて、階段に向かった。
「ちょ――!? ちょっと待ちなさいよアンタ!? 誰よ! 誰がそんな噂流してんのよ!? 取っちめてやるから、絶対取っちめてやるわ! ねぇ! ちょ――頼家! 待ちなさいよ頼家!?」
その直ぐ、後、西条は周囲の視線やヒソヒソ話を完全にスルーして、俺の後を追ってきた。
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