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俺が、ドアを開けて、校舎内に入った瞬間、
「きゃーーぁっ!!」
と、女子生徒の劈(つんざ)くような悲鳴が、5階へと続く階段に響いた。
「――何、だ……?」
恐怖に怯えた声だった。
まるで、ホラー映画で最初に死ぬボブキャラみたいな悲鳴。
リアルでソレを聞いたのは初めてで、『危機感』というモノが薄れ、純粋に、『何があった?』と疑問が一つ湧いて出た。
無駄に冷静な思考で状況を見る。
――階段の踊り廊下。
そこに、女子生徒が、男子生徒に隅に追いやられていた。
壁の角に身を押し込める様に、震える短い茶髪の少女。
それに迫る、薄く青が入った黒髪の少年が、両腕を、ダラリと伸ばしながら、とジリジリと迫る。
―――――――――何だ【アレ】は?
冷静に見ても、良く状況が分からなかった。
「――は? 何やってんの、アイツ?」
少し遅れて、入ってきた西条は、俺の背に隠れる様にして覗き、眉を顰めながら呟いた。
――分からない。
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