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何がどうなって、どうなった……何て、分からない。
ただ、女子生徒が、尋常では無いくらいの恐怖を味わってるのは確かだった。
扉近くに居る俺と西条。
俺らと踊り廊下の間の階段に居る二人の女子生徒。
件の踊り廊下の二人の近くに居る男子生徒。
五階側の階段にる男女、二人。
これだけ人数が居るのに、『二人の間に割って入る』ということすらも出来ないでいた。
「何なの、何なのよ! もう! こいつ変だよ!」
堪らず、少女が叫ぶ。
だが、その男子生徒は、聞こえていない様に――否、むしろ、その声に導かれる様に、滑らせながら歩をまた一歩進めた。
それに、少女はビクッと身を震わせた。
西条も、俺の腕を思わず、掴む。
――何なんだ、本当に……。
やけに静かな階段で、
「――ぁあ゛ぁあっあ゛ぁあ……」
【その男子生徒】の、肺から空気を絞り出した様な、声にならない声が、響いた。
決して、大きい音では無い。
だが、確かに、彼の口から、その音が漏れ出すのが聞こえた。
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