第一章

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「まぁ、アイツが高校に入ったら、作らなきゃだけど……」 柵に背を預けながら座り、気だるげに、ストローで、カフェラテを啜(すす)る。 見上げた空は、溜息が出る程、代わり映えが無い。 こうやって見ると、今自分が居る、この世界が“外の世界”から『未来都市』と呼ばれる“中の世界”だ、と言われてもピンとこない。 「……はぁ~~っ」 俺はストローから口を離し、おっさんみたいな溜息をこぼした。 「――なんと、いうか……」 覇気の無い瞳を細めて、雲を追う。 そして、もう一度、溜息を吐き出す。 すると――。 「ホント、相変わらず鬱陶しいわね。その溜息、何とかならないかしら?」 そんな、ややトゲのある少女の声と共に、急に、影に覆われた。 座っている俺に、誰かが、上から、覗き込んだらしい。 逆光で、その少女の顔ははっきり見えないが、特徴のある声は聞き間違えない。 ――と、いう以前に、俺に話しかける友人は、悲しいかな居ない。 以前、“ちょっとした事”をやらかしてしまって以来、何かと、頼家 悠は浮いているのだ。 故に、その人影の正体は、ただ一人しか該当しない。
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