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「――ん~~……」
と唸りながら俺は周りを見た。
屋上に出ている生徒は意外に多い。
男子数人、女子数人など、何かしらのグループで固まっているのが殆どだ。
中には、男女の二人組で肩を寄り添っている奴らも居た。
――そんな、楽しい雰囲気な彼らからの、『寂しい奴らを見る目』が、痛い。
「――それ、お前も同じじゃないのかね?」
だが、その視線は俺にだけでなく、西条にも、もれなく注がれていた。
俺は多少なりとも、『寂しい奴』の自覚、というか、負い目みたいなものを感じているから、いざこういう状況になると、居心地が悪くなるのだが、彼女はまったく気にしない様子で、
「はっ! 私は一緒に『食べれない』んじゃなくて、『食べない』の! キャハハウフフと、馬鹿みたいに腹抱えて笑ってんのって馬鹿っぽいし」
私は結婚『できない』のではなく、『しない』だけだ。
的な理論で言いつつ、バックの中に手を突っ込み、コンビ二で買ったであろう、オニギリのラッピングをとっていく。
それを横目に「はぁ~~」と、また俺は溜息をついた。
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