第一章

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――しかし、実際問題。 俺と彼女は、特に親しい訳では無い。 彼女とは、同じクラスだが、席が近い訳も、家が近所で幼馴染――なんてことも無い。 ただ、同じクラスになる率が高いだけの正真正銘の“ただのクラスメイト”。 そして、西条 玲奈は自他共に認める美少女。 成績は常にトップクラス。 運動神経も良い。 何をやらせても、そつなく熟す才色兼備そのものだ。 おまけに、家柄も良く父親は研究所のスタッフ。 名実ともに、お嬢様な訳だ。 ただの人見知りで、人の本音を知るのが怖い、根暗な頼家 悠とはまったく一切、これっぽっちも接点が無い。 だから、 ――なんで、俺“には”絡むんだよ…… その理由がいまいち、分からなかった。
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