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この非の打ちどころが無いステータスが故にこの少女は、少し浮いていた。
欠点が特に無く、全てに対して秀でている。
それは、憧れの対象になるが、優秀過ぎると、それは嫉妬に変わってくる。
西条 玲奈のステータスと、彼女の自身の性格、プライドなどが相俟(あいま)って、色々と苦労があったのを俺は知っている。
“そういう事”があるからあまり、人とは馴れ合わない――らしいのだ。
正直、彼女なら多少、色々と我慢したり、演じたり、とちょっとしたことで高校生活を謳歌出来るとは思う。
が、西条とは、小学校の時に“少し関わり”があった程度の繋がりしかないのだから、不用意に人の心に土足で踏み入りたくは無い。
「――何よ、黙りこんじゃって……」
俺が、一拍以上の間を空けたのを、怪訝そうに流し見て西条が呟いた。
そして、丁寧に海苔を巻きつけた、オニギリにその小さな口でかぶりつく。
パリッと乾いた良い音がした。
「そーいえば、アンタさっき、独り言、言いかけてなかった? 何言おうとしてた訳?」
――独りで済ませるから“独り言”というんだよ。
と、内心思いながら、何となく素直に俺は口を開いた。
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