第一章

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「あれ、赤バッジ。一年坊主だね」  真っ黒のくりくりした瞳に、ウェーブがかった黒髪。  後光がさしているかのように、その人の存在が眩しく見える。    気のせいか、幻覚なのか。  バサッと音がして、彼女の後ろで、白銀の翼が揺れた。  空からの階段を降りてきた、まさしく天使だ。  合服のセーラー服の背中に、本物の羽があるんじゃないか。  俺は本気でそう思って、思わず名も知らぬ彼女の背中に手を伸ばした。 「ちょっと、何だ?」 「あ、ごめんなさい」 「じゃあ何、背中に何かついていたか?」 「と、思ったんですけど、何もなかった。です。ほんとにごめんなさい、それじゃあ」  俺は走り出した。  頬がりんごみたいに赤くなっているのがわかる。  どきどきと心臓がうるさい。 「天使だ……」  俺はうわ言のように呟いた。  
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