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「夏休みか。今までだと、また彰に巻き込まれんのか?」
武士は今までの夏を思い出す。
「あのお嬢様が、プライベートビーチだとか言って、彰を拉致ったからな。何故か一緒にいた俺も。」
だが、今回の夏休みはきっと面白い。何故だかそんな気がしていた。
「今度はどんな作戦を練るか、楽しみにしてるぜ英樹。」
彼が期待するのは、英樹が見せるショーの舞台に立てることだ。大げさかもしれないが、人生とは大きな舞台で全ての人物は誰もがスポットライトを浴びる。
「ま、その前にテストか。多分大丈夫だろ……。」
武士は期待を胸に、1日を終えた。
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
「夏と言えば、肝試しとかだよな?あと花火。……海もそうだっけか?」
鳴門はあまりアウトドアな人ではない。暑いからこそ、冷房のある部屋にいるタイプだ。
「今までまともに夏を楽しんだことねぇかんな。……まあ、肝試しようにいくつか試作品を作っときますか。」
彼自身、今年の夏休みは部屋にいたくないと思っている。そんなことしていたら、面白い出来事を逃してしまうと知ったからだ。
「よっしゃ、いっちょ頑張りますか!」
楽しさを胸に、鳴門の1日は終わった。
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
「…………夏……水着で……英樹……欲情?」
凉子は、夏という季節限定のアタックを考えていた。
「…………英樹……多分だけど……反応しない。」
英樹に色気など意味がない。逆に気持ち悪がられるだけだ。
「あーもう!どうしたら良いの?海がダメなら、花火とか!……ダメか。人混み嫌いな英樹が、行くとは思えない。じゃあ肝試しとかやって……抱きついたりしたら英樹が倒れるか。いやでも、倒れた英樹に……後で殺されそう!」
結局、どれも駄目だと分かった凉子。それでも、諦める事は出来なかった。
「そうだ!あの金井とかいう奴を上手く使えば……フフフ。」
闘志を胸に、凉子の1日は終わった。
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