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「おら、さっさと帰れ。俺だって暇じゃねえ。」
「今日は助かったぜぃ英樹!」
「悪かったな。ほら凉子、おとなしく連行されろ。」
「…………まだ……負けてない!」
「またね英樹。」
そうして武士達が帰り、英樹は一人となった。
「……やっぱキツいな。」
「ミィ?」
「心配か?大丈夫だっての。」
だが、今の英樹を見て平気だと思う人はいないだろう。大量の汗を流し、青紫な唇をしている彼を見れば。
「散歩行くか。気分転換だ。」
「ミィ!ミィ!」
彼自身、人嫌いを変えようと言っているが、かなり無理をすることになる。いつまで耐えられるかは、誰にも分からない。
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
「やあ英樹君。顔色が悪くないか?」
「くそ、面倒な奴が!」
詩織と会ってしまった英樹は、どうにか打開策を考えた。
「そ、そうなんです。体調が悪いんで、これから病院へ。」
「それは大変じゃないか?私が付いていこう!」
「……おい、少しは察せよ。アンタといると疲れんだよ。」
「安心しろ。今日は君に戦いを挑むつもりはない。」
「前にぶっ潰してやっただろうが。」
「そうだったか?まあ、挑戦することで成長するのだから、いつか勝てる日がくるさ!」
「それまで俺が相手すんのか?そこまで暇じゃねえぞ?」
「大丈夫だ。こっちから勝手に挑ませてもらう!」
「……やっぱ疲れる。」
こうして、詩織が散歩に付いてくることになった。病院に行く予定はもちろん無い。
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