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「そうだった!僕はポテチを求めていたんだ!」
思い出した英樹は目の前の少年に気を取られて、自分が夜食を買いに出かけたのを忘れていた。
「それじゃ僕は帰るよ。それに、君は前より強くなった。もう大丈夫だと思うしね。」
「そうかな?僕は…僕は。」
「君の弱気は病気かい?まったく呆れるよ。」
「ハハハ…君は強いよね。憧れちゃうよ。」
「僕に憧れるなんて、やめた方がいいよ。それに、君は君だ。誰にもなれないよ。」
「そうだね…僕が変わらなくちゃ!」
そう言って笑う彼を見て、自分にはこの笑顔はできないと思った。自らの弱さに立ち向かうと決め、変わることを目的とした。これを変化と呼ぶなら、本当の意味で変化している物や人は少ないだろう。
「それじゃ、さようなら。君の意志の強さに期待させてもらうよ。」
「……さよならは、嫌だな。またね!」
そう言って二人は別れた。この日の出会いが無ければ、片方は悩みを誰にも言えず、苦しんでいたかもしれない。片方は、変わることの意味を、変わることを決意する強さを知らずにいたかもしれない。小さな出来事だったが、いみがの無かった訳ではない。それぞれが何かを学び、それぞれが別の道を歩き出した。
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「ふぅ、結構キツかったな。」
そう言って英樹は鳥肌がたっている腕を見た。それは彼が耐えていた、そして変わろうとした証でもあった。
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