約束の重さ

10/16
前へ
/143ページ
次へ
「そして問題を減らすために、最低限のルールを作りました。まず1つ、1チーム最低60人とする。2つ、前後半別れての対戦とする。3つ、顔面セーフ。」 「最後のルールいるの?」 「林道さん、顔面セーフはとても大事ですよ?もしかしてドッチボールやったことないんですか?それとも、誘ってくれる友達いなかったんですか?」 「アンタ、私に対する噛みつき凄いわね。」 「とりあえず、以上が僕の提案するドッチボール大会です。」 「では採決するぞ?この案に賛成の者は手を上げてくれ。」 皆が手を上げた。英樹の案は可決された。 「では最後に確認ですが……皆さんはこの資料に賛成ですね?」 「まあそうなるよね彰くん♪」 「ち、近いですよ水無月さん!」 「甘奈でいいよ?」 「……では異議なしと。詩織さん、ここにサインを。」 「構わないが……意味があるとは思えないが?」 「……あ!待って会長!」 だが茜の忠告は遅く、詩織のサインをもらった英樹はとても笑顔だった。 「どうした茜?何か問題があったか?」 「問題も何も、2枚目を見てください!」 「2枚目?……薄すぎて分からなかったな。」 そう、英樹の狙いは2枚目にあった。そこに書いてあった内容に問題があった。 「えっと、『なお、高村英樹は参加せず、裏方の仕事に就くこと。』……英樹くん、これはなんだ?」 「つまり、英樹は参加しねぇのかよ!つまんない!」 「それに1人いなくなっては、1チーム60人が不可能になるじゃないですか!」 「……まさか英樹、橘さんを?」 「分かってるじゃないか彰。そう、昨日来た転校生が1人いるので大丈夫です。それとも皆さんは転校生を仲間外れにするのですか?」 「だが、君の自己犠牲を喜ばない者もいるだろう?私や凛華が。」 「なんで出ないんだよ英樹!お前とやんの楽しみだったのにー!」 「その点は問題ないです。僕友達いないですから!」 笑顔で言った英樹に、誰もが反論できなかった。
/143ページ

最初のコメントを投稿しよう!

74人が本棚に入れています
本棚に追加