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「やっぱり、無理するのは辛いな。今にも吐きそう。」 彼がそこまでして耐えたのは何故か?それは簡単な話しで、変われないと諦めた彼に怒りを感じたからだ。人は複雑だと思われる事が多いだろうが、とても単純だと英樹は考える。 例えば、普段おとなしいと言われている人が、少しの悪口で怒ったりするときがある。それを珍しいと言う人がいるかもしれないが、それは間違いだ。誰しも悪口を言われれば、少しは怒るだろう。そこに、人それぞれが抱く印象が加わり、珍しいという意見を持たせる。結局、自分自身が答えを歪めているのだ。 「これに慣れなきゃいけないのか……長い道だなぁ。」 英樹は呟きながら、歩くことを止めない。辛いからと立ち止まっていては、進むことはできない。人生は長いレールだと言うが、ブレーキが無いとは誰も言わない。その存在に気づいていながら、それを無視して進んでいると言い張るのだ。ブレーキは人によって違うだろうが、誰もが止まっている。 「さて、これから僕は何処に進むかな?楽しみ……ウェェ。」 誰もがアクセルとブレーキを持っている。それを無意識に切り替えて、人はレールを進んで行く。英樹は今、緩やかにアクセルを踏みつつある。彼の行く先は誰も分からないが、だからこそ進むのが人なのだろう。
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