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「良かったぁ…友達だね」
不意打ちの満面の笑みにクラッときた。忽ち神経を集中させ、平常心をつくる。
まだ大丈夫だ俺。落ち着け。
敬語を取った瞬間のあの表情はなんだ?今も笑顔だが、敬語で感情にブレーキでも掛けていたのか?
「灰って呼んでいい?」
「あ?…あぁ」
にこっと笑ったこいつとあの嫌みなツンツン副会長が同一人物だとは思えないと、少し疑ってしまう。これが素だとしたら敬語の時よりガキっぽいと素直に思った。
早くもデザートに手を伸ばすこいつはとても嬉しそうに頬を綻ばせる。甘い物が好きだったな、そう言えばと、俺の手が伸びるのはこいつの髪で、触れて撫でてみた。
「?」
いつまで経っても払われる気配がない。甘い物に気を取られているからか?相変わらず隙だらけだ。
「撫でられるのは嫌いだろ?お前」
「え?んー…基本的に人に触られるのが嫌い。だけど灰は良いよ?温かくって気持ち良いし、好きだから」
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