如月海への報告

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中途半端なメイクに笑みを浮かべながら静かになった電話の向こうに耳を傾ける。少し息を吸った音が聞こえた。 「大事にするよ。雪は一生俺が幸せにする」 「……はぁ。やっと?」 「あ゙?てめぇの邪魔がなかったらもっと早かったかもしれねぇんだよ」 弟の彼氏とやらは、嫌みったらしく言葉を投げてきた。 「ふふっ確かにそうかもね。…雪は元気?」 「あぁ。でも最近生徒との無駄な接触が増えてんだよ。素出始めてる」 「あら、嫉妬?」 無言になった電話の相手に笑いがもれる。 「言っておくけど大事にしなかったら、あんた殺すから」 「…知ってる」 何度も聞いている話しだと思うが、返事は一番重くしっかりと届いた。大人の男の声だった。 「やっぱりムカつくわねあんた」 「まぁ、変わんねぇからな俺」 笑ったような声に鏡の中の女もひどく幼く微笑んだ。あの子は今幸せなのね。沢山のごめんなさいとありがとうを詰め込んだ、ただ一言。 「おめでとう灰」 「あぁ…」
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