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あちこちに無造作に置かれた本たち、殆どの椅子や机は資料などに埋まっている。そんな中、1つだけ整理された机に向かっている彼をボクは眺めていた。
保健室とは違う安心感をもたらす、ここ古典資料室でボクたちは仕事をしている。(ボクはソファーでくつろいでいるだけだけど…)
このゆったりと流れる空間にウトウトし始めていると、その沈黙を保っていた扉が大きな音を立ていきなり開いた。
び、びっくりした…。
ボクは眠気を飛ばし、飽き始めていた本から顔を上げる。灰は機嫌を害したようで鋭い視線を全開になった扉に向けていた。
その原因となる犯人は別に悪びれもせずよく通る声で叫びに近い声を上げる。
「どういうことですかぁ!!!詳細は追って書面でお伝えいたします!?ノォオー!!!今すぐ説明を要求しますぞ!!!」
と、騒がしい彼はいつもに増して暴走しているようだ。目が怖い。どうやら自分でも何を言っているか分からないようで日本語として聞こえない言葉も表れ始める。
「おい、青葉いきなり何なんだよ」
不機嫌な声質の灰にも怖じ気ずくことなく、ズンズンと進んでくる。目指している先はどうやらボク?
「~~っ先生!!」
「…えっと、おはよう?」
「おはようございますー…じゃなくて、…いや挨拶は必要だよな。おはようございます!」
ぶつぶつ何かを呟く夏くんを観察していると、灰がボクらの方に近付いてきた。
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