君が手を伸ばした先に

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「ふぅ……」 私は静かに溜め息を吐いた。 冷めきった体を抱き締めながら私は立ち上がる。 そのまま手拭いを手に持つと、井戸へ向かった。 そろそろ血を洗い流して着替えなければ、本格的に眠れなくなってしまう。 元より、眠るつもりも無かった私にとっては少しどうでもよかったのだが、他の者にこの姿を見られてしまっては厄介事になるに決まっている。 特に原田佐之助、永倉新八あたりなんかに見つかってしまえば問い質されるに決まっている。 背が高く大柄なこの二人は、腕は確かで皆からの信頼は厚い。 しかし昔からの付き合いではあるものの、騒がしくいつも楽しそうなこの二人が私は苦手で仕様がないのだ。 「あの二人は……ほどよい距離を保ってはくれないから」 私はあの二人を見るたびに、馬鹿は怖いと思うのだった。 .
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