君が手を伸ばした先に

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「まずは私たち一族の話をしましょう。 なぜ私は刀を握っているのか、はっきりしていなかったでしょうから……」 ─── 私たち一族は子供が生まれると、巾着、反物、筆、そして刀この四つの物が贈られてくる。 その中から一つだけ、生まれた子供が一番初めに手にした物で、子供の将来を決めるという慣わしがあるんです。 今までどんな例外もなく、これは守られてきました。 巾着は物を入れる道具。すなわちお金となり、家畜を育てたり、田畑で働く農民となる。 食べ物なくしては、村は栄えないという事らしい。 反物は呉服屋などの商売を表すらしい。 主に他の村や町との貿易や商売を行う。 これも一族が栄えるためには重要な役割の様です。 次に筆は勉学を表す。知に長け、知をもって一族を支える大事な役割。 毎日よく分からない書物を読んでいます。 そして最後に刀。人を殺す道具である刀は、武士ではなく殺し屋とされている。 人を殺す為だけに育てられる非道な人間。依頼であれば誰でも殺すような人たちです。 こんな慣わしがある一族の中で生まれ、私は殺し屋として育てられました。 普通なら教えられるであろう、命の重さも知らずに…… ─── .
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