君が手を伸ばした先に

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─── 初めて実際に人を殺したのは五つの時。 「蓮、今日は実戦だ。失敗は許されない。十分に楽しんでくるんだ」 一人の男は蓮に重圧をかける。 しかし、少女は微笑んだ。月明かりによく栄える、美しい微笑みだった。 「はい、わかりました」 少女は小太刀の柄に手を添えながら、素早く目的の人物に歩み寄る。 近づくと少女は一小太刀を素早く抜き、気に間合いを詰めて斬りかかった。 肩から背中にかけて大きく開いた傷口から、まるで雨でも降るかのような血飛沫が上がった。 男は唸り声をあげると、ぐらりと体が大きく傾いてやがて倒れた。 月明かりを反射させながら、綺麗に落ちていく鮮血に、蓮は目を奪われていた。 美しい。血を見るのは初めてではないはずなのに、幼いながらにそう感じていた。 幼い蓮にとっては何故人を殺すとのかいうことよりも、血の美しさを見る為に人を殺すのだと、漠然とそう思っていた。 ───子供は遊ぶことが、大好きだから .
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