99人が本棚に入れています
本棚に追加
土方さんが部屋を出ていって部屋にぽつんと一人残された。
私はまた生かされた…生かされてしまった……
だけどこれでいい…私はまだ死ねないのだから。
だから私は目的のために精一杯この場所を利用しよう。
利用価値だけを求めて、私の目的が果たされたら今度は安らかに鈴璃の元へと逝けるように。
「鈴璃……直ぐに、会いに行くよ…
会ってまた二人で幸せに暮らそう」
私の呟きはただ閉ざされた静寂に、静かに消えていく。
………そのはずだった。
「その時は私も一緒にいいですか?」
突然障子の外から聞こえた声にはっとする。
誰か来たかも気づけないほど物思いに耽っていたというのか…
「どちら様ですか」
少し警戒しながら障子の外へと声をかけた。
「私の事忘れてしまいましたか」
障子を開けながらそう言ったのはなんとも懐かしい人物だった。
.
最初のコメントを投稿しよう!