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「今日のところはさよならだね、蓮。
君のお仲間も心配しているみたいだし。
だけど忘れないで…今度会った時、今日のこの遊びの続きをしよう。これはあの日の続きだから」
そう言って稔麿は踵を返した。
何か言葉を発する前に、稔麿の姿は見えなくなっていた。
「心配しましたよ。こんなにびしょ濡れになってしまって……」
そう言って私の体をきつく抱き締める。
私はあまりの安心感に、堰を切ったように次から次へと涙が溢れだした。
「総司……あり、がと…う」
きっと来てくれたのが貴方だったから、私はこんなにも泣くことが出来たのかもしれない。
お礼を言った私に、総司はふわりと微笑み返した。
「帰りましょうか。みんなが待っていますよ」
散々泣いて緊張の糸が切れてしまったせいだろうか、それとも走り疲れてしまったからだろうか?
その言葉を耳にして小さな幸福感と共に、私の意識は闇へと落ちていった。
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