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総司が次に口を開いたのは辺りがすっかり暗くなった頃、辺りが夜に包まれ始めた頃だった。
「蓮、土方さんのところへ行きましょう。起きたら連れてくるように言われていたんです」
「そうですか、それは手を煩わせてしまいましたね」
私はそう言って立ち上がる。
羽織を返そうとする私に、今夜は冷えますからと再び羽織が掛けられた。
私はそのまま総司と二人で土方さんの部屋へと向かう。
部屋へ向かう途中、私たちはどちらも口を開かなかった。
静寂に包まれたまま、私たちはやがて土方さんの部屋へと辿り着く。
「土方さん、蓮を連れてきました」
口を開いたのは総司だった。
「入れ」
土方さんは何時ものように不機嫌そうに口を開く。
私が外出許可を取りに部屋を訪れたときと何一つ変わらない。
「失礼します」
一言声をかけて部屋へと足を踏み入れた私たちは土方さんの前まで来ると、その場に正座をした。
今から何が行われるのかを理解しながら、私はただ無表情で土方さんを見つめる。
一つ咳払いをした土方さんが、重たい口を開いた。
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