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私は自分の部屋に戻り、2本の刀と1本の小太刀を見つめた。
2本の刀は私のもの。そして1本の小太刀は生前、鈴璃が持っていたもの。
結局小太刀が鞘から抜かれることは1度もなかったので、誰の血も浴びることなくとても美しいままだ。
私はその3本の刀の中から1本の黒塗りの刀を手にする。
真っ黒に塗られた刀身は、夜の闇に溶け込み真夜中の暗殺の為に用意された刀だ。
刀を手にし、立ち上がる。
“人を斬ることが、悲しいと…思ったことはないのですか”
ふと、総司のその言葉を思い出した。
一度だけ、本当にたった一度だけ悲しいと思ったことがある。人を斬ったことに、初めて後悔したことがある。
「どうせなら……あの時私も一緒に殺してほしかった」
そう呟いて私は首を振る。
今はそんなことを考えている暇はない。
今から辻斬りの始末へ向かうのだ。
何度も繰り返される罪に私は目を瞑りながら、私は外へと向かうために部屋を後にした。
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