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「やっと、目が覚めたか」
誰?
とても懐かしい声……
「門の前にお前が倒れてるとは思わなかった」
ゆっくりと声のする人物に焦点を当ててはっとする。
「土方、さん…」
私が倒れていた場所はどうやら新撰組の屯所だったらしい。
土方さんや新撰組の数人とは昔、小さな頃に試衛館道場でお世話になっていた。
「蓮、何があった?
それに鈴璃はどうしたんだ?」
「…鈴璃は………
ねぇ土方さん、私を此処に置いてくれませんか?
それが駄目なら…今すぐ私を殺してください」
鈴璃の事は言えなかった。
声に出せば認めてしまう…絶望してしまうから。
もう前を向けなくなるから……
握りしめた拳を振るうことも解くことも出来ずにただ土方さんを見つめた。
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