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親の前で「バイ」と言うワードを口にするだけで寿命が縮む思いだった。
性器の名前を身内の前で叫んでいるような気分だった。
うちは性に対してオープンな話をしない家庭だったので、余計にキツかった。
「でもさ、バイじゃなくても、ちゃんと男の人が好きでも結婚できない女の人だっているんだし、自分は女の子を好きになることもあるけど、ほら、バイだから男の人を好きになるかもしれないし!」
自らカミングアウトしたくせに、自分の立場をフォローしつつ、何を言い訳してるのか分からなくなっていた。
これ、テレビで流れるんだよね?一旦、そんなことも脳裏をよぎった。
酔っ払って陽気だったお父さんは押し黙り、お母さんはいつまでも泣いていた。
お父さんは別のことで怒り出した。
芸人をやっていること、金銭的な自立ができてないことや、生活が不規則なこと、心配ばかりかけてること…
「そんなこともちゃんとできていないのに、バイセクシャルとは何事だ!?」という意味なのか、話を反らしたかったのかは謎だが、僕はここで少し焦った。
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