2人が本棚に入れています
本棚に追加
―午前6時―
「今日から・・・か。」
私は制服を見つめながら呟く。
今日から桜高高校に転入することになったからだ。
今まで田舎に住んでいた私たちだが、高校入学を期に、親戚のおじさんが転勤ということで都会に引っ越して来た。
またあんな日々が始まるのかと思うと肩が震える。
都会といえば、チャラい男女を思い浮かべる。
まだ親戚の道場の方がマシかもしれない。
最初は質問攻めで「仲良くなろう」と思ってるんだろうけど、母親が人殺しということを知ると、すぐイジメが始まるに違いない。
そんなことを思いながらも準備を終え、朝食を食べると、家を出た。
慣れない制服は、胸元にリボンがついており、夏服だから白い半袖Tシャツ。
肌色のベストに、スカートは白と灰色っぽい色の
チェック柄という、可愛らしい感じ。
「可愛い」というものにはあまり慣れないので、
なんだか着心地が不思議な感じだ。
そんなことを考えながら歩いていると、
「わぁ~~~っ!あっぶね!」
という声が背後から聞こえた。
ぼーっとしてたせいか、自転車が後ろにいることに気がつかなかったようだ。
「あっぶなかったぁ・・・おねーさんごめんねー!
・・・て、その制服・・・俺と同じ学校だー!」
チャラめな感じの男はチャラめな口調で言う。
「えーと・・・桜高高校の人・・・?」
私は恐る恐る聞く。
「そだよ~。おねーさんもそうでしょっ!その制服、女子の夏服だも~ん!」
私の目にはその男は頭の上に「♪」を浮かべているように見えてしまう。
「ず・・・随分詳しいんだねぇ・・・」
「だって女子の制服って男子にとって目の保養じゃない?そーゆーのは見とかなきゃね~!w」
その男はノリノリで話す。
「あ、遅れたね。俺、柴田 響也!おねーさんは?」
「えっと・・・田崎 そら・・・です・・・」
この男、私にとっては苦手だ・・・
こうゆう奴にはこうゆう態度になってしまうのも私の特徴である。
「そらちゃんか~よろしくね~っ!
まっ、同クラになったら、さ。よろしくねっ♪」
響也という男はそれだけ言い残し、自転車を走らせた。
私はこらの高校生活が散々な事になるという予感がしていた。
私の予想は的中していたのだった・・・
最初のコメントを投稿しよう!