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「ねーそらちゃーん!無視しないでよぉーねぇー」
響也は可愛い犬のような顔で言う。
「…あんたみたいなチャラ男、嫌いなの。大体、私達、赤の他人でしょう?ただのクラスメイトじゃない。」
すると、響也はスネた顔で言った。
「赤の他人なわけないじゃん。クラスメイトなんだから。クラスメイトは他人じゃないよ?」
「でも私と『他人じゃない』関係になってどうするの?」
すると響也は当たり前のことを言うように言った。
「友達になる。」
あぁ、このパターンはそうだ。
転校生と友達になりたい、ってやつだ。
母親が人殺しだって知ったら離れていくに違いない。
響也を私から離すため、母親の事を話すことを決意した。
「私のお母さんね、人殺しなんだよ。それでも友達になりたい、っての?」
響也は即答した。
「それとなんの関係があんの?母親が人殺しだってそらちゃんには関係ないじゃん。」
一瞬私は目を疑った。
このチャラ男が私と同じ考えだなんて。
いや、でも、今はこう言っていても、いざ、みんなに知れわたったりすると、みんなと同じことをするのだろう。
響也が私を嫌うようにいかにもうざい言い方で言う。
「あんたに何がわかるっての?あんたと友達になったって何もメリットなんてないわよ。」
すると響也はまたまた即答。
「メリットとか関係なくない?……明日屋上来て」
と一言言い残し、皆の元へ戻っていった。
「な…なんなのアイツ…」
私は口をぽかーんと開け、呟いた。
第三章 アイツの秘密
現在一時六分。
昼休みに屋上に来てと言われたが、行くか行かないか、屋上行きの階段で迷っているところだ。
「ねー、そらちゃん、来るんだったら来なよ」
ドアの向こうで響也の声がする。
私はコクリと頷き、屋上へ行った。
屋上では、昼寝中のような、床に寝そべった響也の姿があった。
。
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