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戦国の世を経て、時代が東西朝時代となったのは、百年以上前のこと。
西を夢、東を蓮と呼び、それぞれを夢梨(ゆめなし)家と蓮見(はすみ)家が治めていた。
やがて国の覇権をめぐって、両家は対立するようになっていった。
そして五十年前に、夢梨家は蓮見家に勝利し、この国を手に入れた。
蓮見家の者は戦場で捕らえられ、殺された。
しかし、ひとりの兵士が、赤子連れの女を逃がしてしまった。
その女こそ当時の蓮見家棟梁の妾妻。
赤ん坊は、棟梁の末の息子だった。
兵士は、生まれたばかりの赤子が殺されるのが、耐えられなかったのだと言った。
命がけで赤子を守ろうとする女を、殺すことはできなかった、と。
――そしてその恩は、仇で返されることとなる。
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