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父は、俺の祖父、白石辰信(しらいしたつのぶ)の力を欲していた。 白石家は、武家の名門で、長い間夢梨家に仕えていた。 白石家の力は絶大なもので、父は夢梨家をつぶすためにもその力を欲しがったのだ。 しかし、その話を持ちかけられた祖父は協力を拒否。 自分の秘密を知った祖父が邪魔になった父は、祖父を殺した。 …いや、殺したと俺は思っている。 祖父は、父との話のあと、家で食事中に急に苦しみだし死んだ。 母も、間もなく急死。 祖父と同じような死に方だったのだという。 急に当主を失った白石家はみるみるうちに没落し、俺は頼るものもないままあの屋敷にひとり残された。 俺はその時まだ4つだった。 母は、ひとりめの正室だ。
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