11月11日(日曜日)

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「けど、もう疲れたわ。粗を探そうと、神経を研ぎ澄ますのは」 そう言う楓は、口元に笑みさえ浮かべていた。 それは写真でみたそれと変わらない、自然体な笑み。 「それがどんなに善意な行動であっても、そこには必ず裏がある。ほとんどの人が、無意識のうちに行っているだけ。友達作りは自分の快楽のため。ボランティアなら、貢献したという優越感に浸れる。無償の愛なんて嘘っぱちだけど、それがないと世界は回らない。これからはもう少し気楽に考えるように・・・・・どうしたの?」 楓があまりにも不思議そうに訪ねてくる。 「いや、笑ってるなと思って」 「笑ってる?」 どうやら無意識のうちだったらしい。言うが早いが、楓は無表情に戻っていた。ええい、ポーカーフェイスめ!! 「もう少し耐えてくれると良かったんだが・・・・・」 「そんなこと言われても」 奇跡は二度起きないから奇跡と呼ぶ。 もったいないが、この際贅沢は言うまい。 メガネさえかけてもらえれば十分だ。
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