11月11日(日曜日)

64/65
前へ
/422ページ
次へ
「我が人生に一片の悔いなし・・・・・!!」 じろじろと見られているのが恥ずかしいのか、流石の楓も少し俯いた。そしてぼそりと言う。 「大袈裟過ぎる表現ね」 「この一週間の賜物だからな」 そっくりな彩未さんとはまた別物。この一週間が報われた瞬間だ。 「お世辞でもなんでもなく、似合ってると思うぞ」 メガネというアクセント1つで、こうも化けるとは。 「俺の直感は間違ってなかったということが、今ここに証明されたわけだ。どうだ、これからはメガネで生活すれば」 「嫌よ」 それは残念。 「もう満足したでしょう。終わり終わり」 いそいそとメガネをケースへとしまう。 「なんだよ、もう終わりか?優奈とかにも見せてやればいいのに」 「見せたくないから、一人の時を狙って声をかけたのよ」 「そう隠すようなものじゃないだろ」 「約束は確かに護ったからいいでしょう」 それを言われたら返す言葉はない。 別の見方をすればメガネ姿を独り占め出来たというわけだし、文句はあるまい。
/422ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加