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マサは言った。
「楓ちゃんは癖のある子だからね。素直になれないんじゃないのかな」
ああ、そうさ。楓は素直じゃない奴だ。
返す言葉もない。黙りこくった俺をみて、マサは言う。
「あくまで僕の予想だよ。ただ、君に話しかけられてからの展開が妙に早すぎる気がしてね」
それに関しては俺もおかしいと思っていた。
運命みたいなやつを感じてしまうほど、良くできた展開だと。
これが敷かれたレールの上だとしたなら、納得出来る。
その時、
「おはよう、二人とも」
凜と透き通った声が聞こえた。振り向けば、今日も変わらぬ清楚な佇まい。黒髪をなびかせるは学年のマドンナ、平坂碧海だ。
その表情はマサと対照的に明るい。
途端に、マサの顔が強張る。
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