プロローグ 11月5日(月曜日)

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正確にいうなら、もう掃除は終わるところだ。 最後のゴミである、クラスの誰かが捨てていったであろうコーヒーの空き缶。 急に目覚めた遊び心が、くだらない片付け方を思いついた。 空き缶をゴルフの要領でホウキで打ち込み、ゴミ箱へ狙うというものだ。 手で捨てた方が早いのは分かるが、一度思ってしまったが最後、やってみたいという好奇心が湧いてしまう。 というわけで、早速チャレンジしてみる。 息を整え、ホウキを大きく天井に向けて振り上げる。 そして一呼吸吐くと同時、ホウキをスイングした。 だが空き缶は全く的はずれの方向に飛んでいき、カランカランと虚しい音をたてた。 その音を聴いて、思った。 ・・・・・・何で掃除なんかしてるんだっけ? 別に今日が掃除当番というわけではない。 夏休みの課題は残り3日になったら取り組み、勉強よりも遊びを優先する、至って普通のゆとり世代だ。 良心から掃除をしていくなどあり得ない。 掃除は家庭の事情で毎日しているようなものだから、別に嫌いではないが。
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