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そんな恭子先生に、何か失礼なことを言っただろうか?
十秒ほど腕を組んで考えるが、すぐに諦める。
「あんなことってなんだよ。俺が一体、恭子先生に何を言ったていうんだ」
「翔。君とは長い付き合いだ。親友と言っても過言じゃない。ただこれだけは、いつになっても理解出来ない。何とかならないのか?可愛い女の子にメガネをかけさせたくなる性癖は」
マサは呆れたように言った。
その言い様に、思わずムッとする。
「心外だな。性癖だなんて言い方はよせ。まるで俺が変態みたいじゃないか」
マサは深く頷いた。
「みたいじゃなくて、十分変態だよ。対象が幼女とかじゃないから、犯罪に引っ掛からないだけで。思い出してみなよ、今日の4時限目、古典の時間で、君が恭子先生に何を言っていたか」
「何ってそりゃあ、メガネかけてコールしてた」
教室が一瞬、静まり返る。
その静寂を破ったのは、マサのとても深い溜め息だった。
「授業中にも関わらず、メガネかけてコールを何度もされれば、嫌気がさすのも当然でしょ」
「別にいいだろ、そのぐらい」
「あのおとなしい恭子先生がイライラのあまり、50分の間にチョークを15本折ったんだよ。黒板上で無惨に折れたチョークが、哀れで仕方なかったよ」
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