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―――えっと……、 3巻は……、あったあった。
「「…あっ…-」」
目的の巻を見つけて伸ばした指先。
本に届く数センチ手前で、同様に伸びた誰かの 手に触れる。
そして重なった声に、お互い顔を見合わせ見つ め合う。
「「ごめんなさい」」
またしても言葉を被らせてしまい。
「…ぷっ…-」
「…くすっ…」
彼は吹き出し私は照れ笑いした。
切れ長の瞳にきめ細かな肌。女性なら誰もが羨むような長い睫毛。
一瞬ドキッとさせられたけど。
滅多に外を歩かないのか、その肌はあまりにも 白くて、今時の男の人には珍しいなと妙に印象 に残った。
「君もその本のファンなの?僕、その話し大好 きでさ、毎週ここに通ってるんだ」
ニコッとはにかんだ笑顔を向けられて、味わっ た事のない感情が芽生える。
この人ともう少し話したいと……。
恋愛経験はおろか、誰かを好きになった事すら ない私は、これが恋だなんて到底まだ気づいて いない。
「偶然この本見つけて読んだらハマっちゃっ て。ここの所、毎日通ってるんです」
「へぇ~そっか。僕はここに通って半年になる かな?この本読み始めたのは1ヶ月くらい前に なるけど……。あっ、立ち話もなんだし座ろっ か」
すっかり意気投合した私達。
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