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見晴らしのいい窓際の席を選び、彼の隣りに腰 を下ろしながらふと周りを見渡してみる。
いつもは目的の本を読む事しか考えていなく て、図書館全体を気にする事なんてなかったけ ど。
制服姿で読書をする学生達や、1人で黙々と文 字を辿って視線を動かす大人の男性。
友人なのか恋人なのか、関係性がいまいちわか らない男女など、ここには様々な年齢の人間が 利用している事に、今更ながら気づいた。
「名前、聞いてもいいかな?」
頬に手を添え肘をついて、彼が私を見つめてい る。
「姫宮雫って言います。M学園の2年です」
「M学かぁ。じゃあ、僕の後輩だね。僕はM学 の卒業生なんだ。名前は朝比斗真(あさひとう ま)K大2年。よろしく」
「はい。よ、宜しくお願いします」
軽く笑顔を向けられただけなのに、心臓は有り 得ないほど加速して。
それが何を意味するのか気づいていない私は戸 惑うばかり。
「僕ね、毎週木曜はここに来てるから、良かっ たらまた来てよ」
この日から、私達は毎週ここで会うようになっ た。
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